雑に言えば「ビロウゼロ良いやんけ!」という話である。サブノーティカはバンズがまずい宇田バーガーだが、ビロウゼロはバンズが及第点で肉が旨くなってチーズも付いた宇田バーガーだった。宇田バーガーが分からない人は美味しんぼを見るように。
さて、サブノーティカ(Subnautica)とは海洋惑星サバイバルゲームである。
そして表題にあるサブノーティカビロウゼロ(Subnautica Below Zero)はその続編。ただしストーリーが完全に繋がっている訳ではないので単体でも充分楽しめる。
サブノーティカに関しては既に以前の記事で書いた。
SubnauticaをPS4で遊ぶのは止めておけ - Sun Show 魚
そんでもってその時はPS4版で最後の方に進行不能バグに遭遇し(コンソールで無理やりどうにかする手もあったのかもしれないが…)、その敵をPC版で取っている。
サブノーティカのバグのうち結構な割合は処理が間に合わない事が原因のようで、ニーアが動くうちのゲーミングPCだとそれなりに快適に動き、バグもある程度踏み倒せた。
なお、下のバグは残った
・ロードを挟むと地熱発電機の接続が切れる
・最深部の遺跡でプローンスーツがたまに歩けなくなる
総括してサブノーティカはクs……否、自分だって少なくない時間を楽しんでプレイしたのだ、それをクソゲーと一言で片付けるのは不誠実である。
このゲームは良い点は非常に良いし、悪い点は猛烈に悪い。これが模試だったらガッタガタのレーダーチャートが育英から送られてくる。それも良い部分は評価が高いだけあって難関大学A判定ものだが、悪い部分は良い部分をもってしても目に余る悪さで、足して割ってもB判定になってくれない。
そんなサブノーティカ、次回作のサブノーティカビロウゼロになると、かなりの部分が改善されていたので驚いた。そんな訳でビロウゼロについて前作と比較しながら語っていこう。
シナリオについて
前作サブノーティカは海洋惑星に不時着した主人公が、サバイバルをするゲームだ。少しずつ探索範囲を拡げ、より深いところを探索出来るようになる。そしてこの星の謎を解き明かし、脱出を図るのが最終目標である。
最初は小さな2人乗り脱出ポッドに1人で乗り込んだ主人公だが、脱出時のトラブルであらゆる機材が故障してしまっている。何も分からない状態でアルテラの補助AIのアドバイスに従い、資材を集めていく。
やがて通信器の修理が出来ると時間差で他のポッドから来たSOSや、たまたま近隣の宙域に居た他の輸送船からの応答など、あらゆる情報が少しづつ入ってくる。それらの信号の発信地点にはファブリケーターに入れられる設計図データや、先住民たちの残したもの、利便性が上がるわけではないもののこの物語の背景などを断片的に語るデータなどが入手出来る。
今作のビロウゼロは前作と直接のつながりはないが、あらゆるTipsからは前作の主人公が脱出後である事が示唆されている。
主人公ロビンはアルテラの研究者だった姉がある海洋惑星で死亡した事を知る。しかし詳細は全く明かされず、まあアルテラなので多少の事務連絡だけで済ませてくる。そして姉の死の詳細を知るため、単身その惑星に飛び込み、サバイバルをしながら各地のアルテラ基地の調査を進め、また前作には名前だけ出てきた異星人と実際に手を組んで異星人を帰還させるための手助けもする。ビロウゼロの大きな目標はその2つ、姉の死の調査と異星人の帰還の手助けである。
前作だと主人公は一人ぼっちで会話がない。無線連絡はタイミングもずれた一方的なものなので、双方向のコミュニケーションは不可能である。シナリオを理解するためには膨大なTipsをきちんと読み解かねばならず、「結局次にどこへ行けばいいんだ……?」となる事もしばしばあった。
今作ではその辺がかなり改善されている。まず会話可能な存在が二人居る。かっこいいババアと、異星人(アラン)だ。ババアは時々しか出現しないのでそこまで会話量は多くないが、かっこいいので問題はない。
そして異星人のアラン、これがとあるイベント後にロビンの脳に同居するのである。そんな訳でロビンは時々この奇妙で聡明な同居人と会話する事になるのだが、それによっておおよそのシナリオが追える形になっている。更には調査の必要なアルテラ各基地の所在地は、地図で確認が可能になった。前作だとそんな便利な代物(地図)は無かった。異星人の施設に関してはある程度経過するとビーコンと同じ目標シグナルを出してくれるし、重要なシグナルにはマークが付くようになった。全体的に「今何をすべきか?」がわかりやすくなったのである。
ついでに言うとシナリオで見られる会話がとても良い。ロビンは感情的になることもあるけど、非常に聡い事が言葉の選択の端々から見て取れる。アランは非常に理性的だが、種族の特性故に「個」というものに対する理解が浅く、現状の把握能力が高すぎるが故に不安を抱えている部分がある。それらをロビンとの対話を通じて理解したり、新しい考え方を得ていくという部分がある。前作のシナリオも良かったが、今作は表現が良くなって更に破壊力が増している。
ネタバレは伏せるが、最後のアランの言葉が異星人として最高の""愛""の表現だった。
拠点システム(クラフト要素)について
この辺は前作・今作共通の部分も多い。主人公たちは最初にポッドで投げ出されるが、ポッドは狭くて拡張性がないので資材を集めて自分の拠点を作ることになる。
前作ではここでまず問題が発生する。拠点を作るにはまず1,土台を作って2,部屋を作って3,入り口を作って4,ソーラーパネルなどの発電機を作る という流れが必要になる。しかしサブノーティカくんという奴は「死んで覚えろ」と言わんばかりにこの流れをどこにも記載してくれない。土台は部屋をスキャンする時に実物があった…あった?くらいのものなので、名探偵コナンくらいの観察力が無いとこの流れに気付けない。しかも拠点のお手本は陸上にあるので、陸上じゃないと作れないのか?という事も考えてしまう。まあそこで入手するドキュメントに深海の基地の事も書いてあるのでそうではないと分かるんだが……。
ついでに言うと一番訳がわからなかったのが大型水槽。通常水槽は何も追加せずとも中に入れたものの出し入れが可能なのだが、大型水槽はなんと拠点と同じ出入り口を付けないと出し入れが出来ない。そして当然ながらそういう指示はない。大型水槽の所在地が深海の、しかも周囲に面倒くさい敵性生物がウヨウヨしている場所なので、取るものをとったら早めに出たい。なので水槽じっくり観察している暇もない。そして拠点に戻って折角作ったのに何も入れられずググる事になる。とにかくサブノーティカというゲームはこの「説明不足」というのが蓄積して細かいストレスになっていくゲームである。しかしまだここまでならば有志のwikiがあればどうにかなる。マイクラのようなものだ。
なお続編では「土台必須じゃない」という方向に改善された。土台がないと深海に建造した時に耐久度が下がるが、浅瀬ならば問題はない。そして今作では陸地に拠点を作れる。いや前作でも作れたっけ?まあいいや。
前作の陸地は南国のようだったが、今作では陸地が雪に覆われた寒い土地、かつ天気も荒れるので、防寒対策が重要になっている。なんなら陸地に居るだけで体温が下がるので海のほうが温かい。北極みたいなものである(液体の水は0℃以下にならないので)そして陸地も広いので、探索のために拠点の作成が重要になっている。近くにはペングウィンも居る!かわいい!(ペングウィン≒ペンギンと寄生獣を足して2で割った生物。人間を襲わない生き物はかわいい)
そして大型水槽など+αで何かが必要なタイプの家具はちゃんと説明がつくようになった。ろ過装置の作動音しかしなくて寂しい拠点にジュークボックスが追加され、音楽を流せるようになった。そして何よりファブリケーターで作ったものを原料に戻す装置が実装された!これだけで御の字である。
移動方法について
前作だと潜水艦として小回りの効くシーモスと、ほぼ移動式拠点のサイクロプスがあった。シーモスは感覚で動かせるのだが、問題はサイクロプス。非常に大きい上に死角が多く、動きもそうそう速いわけではない。シーモスが軽自動車ならサイクロプスは電車の一車両を二段重ねしたような大きさなのだ。カメラが3つとソナーが付いているが、同時に見ることが出来ないので気が付いたら後ろからリヴァイアサンがこんにちわという事もしばしばである。どうして同時に見れないようにした?しかし深度限界はシーモス<<サイクロプスのため、最深部はサイクロプスで行くしか無い。そして終盤に訪れるロストリバーは道幅が狭い上に広く、迷いやすい。そしてお邪魔虫は大量に出てくる。はっきり言うとその手段しか取れない割に相性が悪すぎる。大量に資源ゲットのチャンスではあるのだが、それ以上にストレスが募るのである。
さて今作では、これらが「シートラック」に統一された。これは運転席はシーモスサイズでコンパクト、そして後ろに様々な機能のモジュールを取り付ける事で好きにカスタマイズ出来る代物である。これが非常に良かった。ストレージモジュール一つ付けるだけで一回の探索には充分過ぎるほどの容量が得られるし、ドッキングモジュールを付ければ前作ではサイクロプスでしか持ち運べなかったプローンスーツ(パワードスーツ)もスイスイ運搬出来る。
ついでに言えばプローンスーツのもっさりした操作性が向上したし、更には陸上専用乗り物としてスノーフォックスという浮いて走る超かっこいいバイクも登場した。ただ一つ問題があり、スノーフォックスは走っている時にかなり上下に揺れるので、酔う。
なんだか褒めてるのかそうでないのか分からない文章になってきたが、ビロウゼロはオススメなのでやってみて欲しいと言えるレベルのゲームだった。ただし自分はゲーミングPCでしかプレイしていないので、PS4でプレイした時にどうなるのかは保証できない。